辨 |
ウマゴヤシ属 Medicago(苜蓿 モクシュク,mùxu 屬)の植物には、地中海地方・西アジア・アフリカに約80種がある。
モンツキウマゴヤシ M. arabica(褐斑苜蓿;E.Spotted medic)
M. arborea(木本苜蓿)
M. archiducis-nicolai(靑海苜蓿・短鐮莢苜蓿)
トゲミノウマゴヤシ M. ciliaris
M. edgeworthii(毛莢苜蓿)
M. falcata(野苜蓿・鐮莢苜蓿・黃花苜蓿)
ニセウマゴヤシ M. hispida(M.denticulata;南苜蓿・苜蓿)
キレハウマゴヤシ M. laciniata(E.Tattered medic)
コメツブウマゴヤシ M. lupulina(var.glandulosa;天藍苜蓿・黑莢苜蓿・雜花苜蓿・
三葉草・老蝸生;E.Black medic)『中国本草図録』Ⅵ/2685・『中国雑草原色図鑑』108
広くユーラシアに分布、日本全土に帰化 『全国中草葯匯編』下/103-104
コウマゴヤシ M. minima(小苜蓿;E.Bur medic, Little medic)
『中国雑草原色図鑑』109
マルミウマゴヤシ M. murex var. aculeata subvar. sphaerica
ウズマキウマゴヤシ M. orbicularis
M. platycarpos(闊莢苜蓿)
ウマゴヤシ M. polymorpha(M.denticulata;南苜蓿・苜蓿・黃花苜蓿;
E.Toothed medic, (California) Bur clover)『中国雑草原色図鑑』108
トゲナシウマゴヤシ var. confinis
M. praecox(早花苜蓿)
M. ruthenica(Pocokia ruthenica;扁蓿豆・花苜蓿)
ムラサキウマゴヤシ M. sativa(紫苜蓿・苜蓿・蓿草;E.Lucerne,Alfalfa)
コガネウマゴヤシ subsp. falcata
ウズマキウマゴヤシ M. scutellata
タルウマゴヤシ M. truncatula(E.Strong-spined medic)
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マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
漢名 苜蓿(モクシュク,mùxu,mùsù)は、古フェルガナ語の bukshuk, buksuk の音写。目宿(モクシュク,mùsù)・■{草冠に牧}蓿(ボクシュク,mùsù)・木粟(ボクゾク,mùsù)とも写す。
むかし中国で苜蓿と呼んだものは、ムラサキウマゴヤシ及びウマゴヤシ。 |
『本草和名』苜蓿に、「和名於保比乃美」と。
『倭名類聚抄』苜蓿に、「和名於保比」と。
『大和本草』苜蓿には、「疑クハ仙臺ハギナルヘシ」と、誤解である。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』23 苜蓿に、「オホヒ和名鈔 カタバミ ウマゴヤシ マゴヤシ サバ ミツバ カラクサ ヱンザヅル城州一乗寺村 コツトイゴヤシ藝州」と。 |
「和名馬肥しト稱スルハ此草良好ナル飼馬料ナレバナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
説 |
地中海地方・カフカス・アラビア・イラン・中央アジア・ヒマラヤに分布。広く世界の温帯・暖帯に帰化。 |
中国には、前漢のころ西域より入る。はじめムラサキウマゴヤシが入り、後にウマゴヤシが入った。 |
日本には、江戸時代初期に牧草として渡来、今日では全国に帰化。 |
誌 |
中国では、広く全国で栽培し、飼料・緑肥として利用するほか、嫩葉は食用にする。 |
『漢書』西域伝大宛国に、「大宛(フェルガナ)の左右、蒲陶を以て酒を為る。富人酒を蔵して万余石に至る。久しき者は数十歳に至るも、敗れず。俗は酒を耆(たしな)み、馬は目宿を耆む」と、また「漢の使、蒲陶・目宿の種を采(と)りて帰る。天子、天馬多く又た外国の使 来るもの衆きを以て、益々蒲陶・目宿を離宮・館旁に種え、望を極む」と。 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)に、「種苜蓿」が載る。 |